圧縮比アップの方法と考え方

エンジンチューンの定番、圧縮比のアップ。僕のハタカブは実行していますし、ピンキー2号(BMW)も計画をしています。

圧縮比を上げたエンジンの特徴は、爆破一つ一つがハッキリして来て、鼓動感の有るエンジンに成ります。

でも、良い事ばかりでは有りません。爆発力が増えた分だけ、クランクやコンロッド、その他の部品に負担が増えるのを忘れる訳には行きません。まあ、極端なアップでなければ、其れ程の心配は要りませんが。

圧縮比を上げるには排気量が其の侭でしたら、要は燃焼室の容量を小さくすれば良いのですが、基本的には方法が二つ有ります。

一つはピストンの頭の盛り上げを大きくする方法。もう一つはヘッドとシリンダーの結合部分を削ってしまう方法。後者は一般に面研と言われています。

この両者を行なう場合も有りますが、この場合はかなりの高圧縮比を狙う場合です。

では、どちらが良いのでしょう?

シリーズ機種でスポーツモデルが有り、其のピストンが圧縮比の高い物で互換性が有る物でしたら其の侭交換が一番簡単です。

でも世の中そうは簡単に事は運びません。ハタカブもそんなピストンは有りません。(僕の捜した範囲。)

でも、そんなピストンが有っても、僕は面研を選びます。

なぜかですか?

燃焼室形状の問題です。燃焼室の表面積は狭いほど良い。これはエンジンのイロハです。今の新型エンジンはこの課題に真剣に取り組んでいます。其の為、バルブの挟み角を狭くし、ピストントップは平面に近く(進んでいるエンジンは凹んでいる)に成っています。圧縮比を上げる為にピストントップを上げるのは燃焼室の形を歪にし、燃焼速度を下げ、結果点火時期を早めなければならなくなり、ノッキングのおき易いエンジンに成りがちです。

面研で上げた場合、燃焼室の表面積は少なくなり、理想に近づきます。でもハタカブはOHC。バルブタイミングが狂ってきます。

では、どのくらい狂うか検証してみましょう。

今、エンジンは組んで有りますので、正確には測れませんが、カムシャフトエンドのスプロケットの直径は60mm程有ったと思います。とすると60×3,14=188,4  これが外周長です。

一周は360°188,4÷360=0,523   つまり0,523mm狂うと1°バルタイが狂うのです。僕の場合の面研量は0,6mmですから1°チョイ。

これって問題になる数字と思いますか?

カムチェーンの伸びはこんなものではないでしょうし、第一メーカーでの製造誤差の方がはるかに大きい筈。カムシャフトを交換したら、ガバナーの位置決めノックピンの狂いには笑ってしまう程。

この誤差なら、十分公差範囲です。

と言う事で、僕は迷わずに面研を実施。

結果、僕にとって良いエンジンに成りました。耐久性だけはこれから走り込まなければ判りませんが。

2006.12.7

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